食品卸大手の国分、中国アリババと提携 ネットに仮想店舗、中小の進出促す :日本経済新聞
食品卸大手の国分は中国の電子商取引(EC)最大手、アリババ集団グループと提携する。年内に日本の食品卸として初めて、約4億人が利用するアリババ集団のインターネット通販サイトに仮想店舗を出店。取引がある日本の食品メーカーの商品を販売する。10兆円規模に成長した中国のネット通販市場に低コストで参入できる仕組みを提供し、中小メーカーの市場開拓を後押しする。
日本法人のアリババ(東京・中央)を通じて、12月にもアリババ集団が運営する通販サイト「天猫」に日本のメーカーの食品を扱う仮想店舗を出す。国分は日本で取引のある約1万社から商品を集める。まず日本酒や焼酎など数十品から売り出し、2013年度には加工食品や菓子などの取り扱いも始める。15年度には取扱額を年間100億円に育てる考えだ。
天猫は企業が個人向けに商品を販売する中国最大の通販サイト。現在は化粧品メーカーなど50社程度の日本企業が出店している。天猫に出ると、アリババ集団の別の通販サイト「淘宝網」でも商品が販売できる。2サイト合計の利用登録者数は約4億人、11年の取引額は約8兆円だった。
日本のメーカーが中国の通販サイトに直接出店する場合、通常は現地法人を設立し、小売権や輸入ライセンスなどを得る必要がある。多大な投資や1〜2年の準備期間がかかる例が多く、中小メーカーには大きな障壁となっていた。今回の仕組みを使うと、メーカーは中国で商標を登録し、国分に月額数万円の「サイト掲載料」を支払えば、半年程度で中国本土全域向けに商品を販売できるようになる。
中国の調査会社アイ・リサーチによると、11年の中国のネット通販の取引額は約9兆6000億円。10年比で7割近く伸びた。20〜30代を中心に利用が拡大し、15年には30兆円を超えるといわれている。