同発電レベルの原発なら2000〜3000億円の単位であるが、世界的に天然ガス主体の火力発電プラントは増加中であり、且つ、熱効率の良い(60%程)ものが主となって来ている。他国と日本であればこの熱効率の差を計算し、稼動安定性やアフターケアの信頼性まで考慮すれば、必ず打ち勝って行けるはず。施設の建設と運転技術教育まで万全の態勢で臨んで行けば、現地雇用も確保させる考え方で信用を獲得出来ると思う。
東芝、「火力発電」納期15%短く 工程見直し、コスト減で競争力 :日本経済新聞
東芝は工程の見直しなどで火力発電システムの納期を従来比15%短縮する。納期短縮で人件費などのコストを下げる一方、操業を早めたい顧客ニーズに応える。火力発電は電力不足の新興国に加え、日本でも原子力発電の代替手段として需要が増えている。中国・韓国勢が低価格で攻勢を強めるなか、東芝は納期短縮で受注を伸ばす狙いだ。
東芝が火力発電システムを納めたインドネシアのタンジュン・ジャティB石炭火力発電所
従来は40カ月程度かかっていた石炭火力発電システムについて、34カ月で引き渡せるようにする。火力発電所は一般に出力80万キロワット級で建設コストが500億円前後に上る。納期が1割短くなると、全体の事業コストが5〜10%下がるとみられ、価格競争力を高められる。
過去の3次元CAD(コンピューターによる設計)を活用して設計期間を大幅に短縮する。これまでは案件ごとにほとんどゼロから設計して時間がかかっていた。調達先に技術者を派遣して部材の納期管理をチェックする体制も整える。
今後、3次元CADに「工事の物量管理」「工程計画」「人員計画」を反映させたシステムも導入する。作業をより効率よく進められるシステムで、原子力発電プロジェクトでは導入済みのシステムを火力分野にも応用する。
配管部品を現場近くの専用敷地で溶接してモジュール(複合部品)に仕上げ、現場での据え付け期間を短縮する取り組みも強化する。
東芝はインドネシアで1月、タンジュン・ジャティB石炭火力発電所の3、4号機の発電システムを引き渡した。発電容量は合計132万キロワット。東芝によると、契約時に従来の40カ月よりも10%短い36カ月の納期を保証したが、3号機は2日、4号機は2週間早く引き渡したという。
今後は一連の取り組みにより納期をさらに5%短縮。34カ月程度で完成できる体制にする計画だ。
新興国を中心に海外の火力発電プロジェクトはコスト削減圧力が強まっており、近年は中国の重電企業が安値で受注する事例が目立っている。しかし工事の途中で品質問題が発生したり、納期が遅れたりして、計画通りにプロジェクトが進まないケースもあるという。
主要な顧客となる独立系発電事業者(IPP)は、1日でも早く運転を始めて投資を回収したいとの意向を持っている。東芝は今後、品質を維持しながら短納期をアピールし、受注拡大につなげる考えだ。