新たな免疫療法であり、小さな希望の光が輝きだすことが期待できそうですね!
朝日新聞デジタル:がん守る細胞、取り除く療法治験 東大・阪大など計画
がんの防御役となっている細胞を取り除いて攻撃しやすくする新タイプの免疫療法を、東京大や大阪大、名古屋市立大などが初の臨床試験(治験)として来年1月にも始める。進行性の肺がんや食道がんなど、いまは治療が難しいがんに挑めるようにする目的だ。
病原体から体を守る免疫は、異物であるがんも攻撃する。がん治療で研究されている免疫療法は、免疫の「矛」の力を高めてがんを攻撃するのが基本。ただ、現状ではすべての患者に効果があるわけではない。
最近の研究で、がんの周囲には免疫にブレーキをかける「制御性T細胞」と呼ばれる細胞が集まり、「盾」となって攻撃のじゃまをしていることが分かってきた。盾をなくせば、免疫本来の力が発揮しやすくなると考えられる。がん細胞の種類によっては、除去で広がりを抑えられたとするマウスの実験結果もある。
治験には国立がん研究センター東病院、慶応大、川崎医大を加えた計6施設が参加。成人T細胞白血病(ATL)の治療薬としてすでに販売されている抗CCR4抗体(モガムリズマブ)という薬を使い、「盾」をどかすことを試みる。この薬は制御性T細胞にくっついて排除しやすい性質をもっている。
安全に使える薬の量などを探りながら、肺がん、胃がん、食道がん、卵巣がん、悪性黒色腫の計約40〜50人の患者に注射。制御性T細胞が減少しているか、どのがんに効果が期待できそうかなどを調べる。
治験は3年計画。順調ならばさらに対象者を増やす段階に進み、ATL以外の薬としても承認されることを目指す。攻撃力を高めるワクチンと組み合わせることも検討している。
治験を統括する愛知医大の上田龍三教授(腫瘍〈しゅよう〉免疫)は「アイデアも技術も日本発の手法。治験が成功すれば免疫療法の展望は大きく広がるはず」と話す。(須藤大輔)
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〈制御性T細胞〉 免疫反応の司令塔を担うリンパ球(T細胞)の一種。免疫が行き過ぎた反応をして自分自身を攻撃したりするのを抑える。がんはこの働きを悪用し成長する。大阪大の坂口志文教授が発見した。