またもや、「シェールガス」です。昨年から、米国に於ける噂・期待度・政治位置付等の変化を聴いてきていますが、ここへきて日本での情報のパターンも多少変化してきています(と感じます)。昨年は、原発の稼働なくば、火力発電等の燃料代が高くつく、2〜3兆余計にかかる、とのことで「原発再開擁護=電力会社理論」主体の論調が主体でした。ここへ来て、原発に対する再開期待が、来年には殆ど間に合わなくなって来ており、高くついても「天然ガス」主体に火力発電でカバーしていかざるを得ない現実が出て来ています。すると、高くつく燃料:今の天然ガス手合い相場は15〜20年ものとして石油比例価格/今の米国価格の2〜3倍、この価格での供給は一時的であり、シェールガス増産に応じた低価格のものが購入できるとの解釈となって来ました。今後は米国での期待の「シェールガス」政策に則った報道が強化されていくことでしょう。
先ずは、今東京都と大阪(府&市)が進めようとしている「天然ガス火力発電」装置の強化や旧火力発電所の装置置き換え等で当面(10〜20年)のつなぎが必要でしょう。もっともそれ以上に、制度改革による「省電」「合理的価格立て」が必要です。メタンハイドレートや藻からのオイル、バイオマスの展開等集中開発にも期待します。残念なのは、まだまだ「原発」に、「再生エネ等新規開発投資」よりも継続の為の費用が必要なことです。早く明確な政策を決めて真直ぐに突き進めて欲しいものです。夏には決定される予定であり、それまでにどのような情報/報道操作していくかが、心配でもあり楽しみでもあります!
北米先行、争奪戦が過熱 日本の調達、TPP追い風
地中の岩盤層に含まれる「シェールガス」と呼ばれる天然ガスが、世界のエネルギー需給構造を大きく変えようとしている。技術革新により、従来難しかった採掘が北米を中心に軌道に乗り始め、今後、世界で開発が進めば天然ガスの可採年数は2倍以上に伸びると期待されている。東日本大震災以降、ガス火力発電への依存が強まる日本にも朗報だが、開発の拡大に伴う課題も表面化している。
可採250年に倍増
「シェールガスは世界にエネルギー革命をもたらす」。丸紅経済研究所の美甘哲秀所長はこう指摘する。
理由は豊富な資源量だ。国際エネルギー機関(IEA)によると、従来の天然ガスの採掘可能な埋蔵量は404兆立方メートル。シェールガスは204兆立方メートルとされる。これにより在来型だけで120年程度とみられていた天然ガスの可採年数は、シェールガスなど新型天然ガスの登場で250年以上に伸びると予測する。
2つ目の特徴は従来型の天然ガスに比べ埋蔵地が世界各地に広がっていること。北米に加え、中国やオーストラリアなど幅広い地域で探鉱が進む。中東に集中する原油のように地域の偏りがない。
IEAによると、35年の世界の天然ガス需要は08年比62%増の見通し。世界のエネルギー需要の4分の1を占めるようになり、30年までに石炭の地位を抜く。シェールガスの増産が伸びを支える。
これまで米国は、20年代に天然ガスの国内消費量の3割を輸入に頼らざるをえないとされてきたが、シェールガスの登場により遠からず輸出国に転じる見通し。世界最大のエネルギー消費国の自給体制確立は、貿易収支の改善にも大きく寄与する。開発競争も激化している。国際石油資本(メジャー)の米エクソンモービルはシェールガスに強い米XTOエナジーを総額410億ドル(約3兆1545億円)で買収した。日本企業でも伊藤忠商事が米ファンドと共同で米石油・ガス会社サムソン・インベストメント(オクラホマ州)を約70億ドル(約5400億円)で買収、国際石油開発帝石と日揮はカナダ西部で3鉱区の権益を約530億円で取得した。「今後も有望権益を狙いたい」(伊藤忠の豊島正徳執行役員)と、争奪戦は過熱している。
日本企業もシェールガス開発に参入している(住友商事が出資する米テキサス州の生産現場)
環境破壊に懸念
日本では原発事故で発電用の液化天然ガス(LNG)需要が急増。電力10社の11年4〜9月期の燃料費負担は前年同期比6600億円増えた。米国産ガスの輸出本格化はエネルギー調達コストの低減につながるとの期待もある。
米国ではシェールガスの登場で天然ガス価格が100万BTU(英国熱量単位)あたり3ドル台とピーク時の4分の1程度に下落した。日本向けLNGのスポット価格は現在17〜18ドルに高騰しており、生産や輸送コストを加味しても割安になる可能性が高い。
三菱商事は東京ガスなどと、カナダでシェールガスをLNGに加工して日本などアジアへの輸出を目指す。丸紅や伊藤忠も米国から日本への輸出を検討する。米政府は原則、自由貿易協定(FTA)締結国に限りLNG輸出を認めており、日本の環太平洋経済連携協定(TPP)への参加はこの点でも利点が大きい。15年にもアジア向け輸出が始まる見通しだ。
とはいえ課題も少なくない。シェールガス生産は従来のガス田開発と異なる技術やノウハウが必要で、技術者不足がネックになるとの見方がある。採掘では岩盤層を破砕するために大量の水を使い、米国では採掘時に使う化学物質などによる地下水汚染など環境破壊への批判もある。世界規模で開発が拡大していくかは見通せない部分もある。