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必見!智慧得(825) 「がん幹細胞:特定目印のたんぱく質発見 /千葉勉」

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がん幹細胞を見つけ出す方法開発 NHKニュース【動画】

がん幹細胞を見つけ出す方法開発

がんを作り出すと考えられている細胞「がん幹細胞」を見つけ出す方法を、京都大学の研究グループがマウスを使った実験で開発し、がんの再発を防ぐ画期的な治療法の開発につながる可能性があると期待されています。この研究を行ったのは、京都大学大学院医学研究科の千葉勉教授らの研究グループです。研究グループでは、マウスの大腸がんにあるDclk1というたんぱく質に注目し、特殊な方法で色をつけて詳しく調べました。

その結果、このたんぱく質を持つ細胞が、がん細胞を次々に作り出していることが分かり、がん幹細胞と確認されたということです。
また、このたんぱく質は、通常のがん細胞にはないことも確認され、Dclk1ががん幹細胞を見分ける目印になることが分かったとしています。
Dclk1は、ヒトの大腸がんにもあることから、研究グループでは、これを目印にがん幹細胞を集中的に攻撃することができれば、大腸がんの再発を防ぐ画期的な治療法の開発につながる可能性があるとしています。
研究を行った千葉教授は「Dclk1がヒトの大腸がんでも、がん幹細胞を見わける目印になることを早急に確認したい。新たな治療法の開発につながると期待している」と話しています。

がん幹細胞:特定目印のたんぱく質発見 京大チーム− 毎日jp(毎日新聞)

2012.12.3

Dclk1がある細胞を排除する前(上)と、排除した後のマウスの腸の顕微鏡写真。がん(矢印)が消失している=京都大大学院医学研究科消化器内科提供(共同)Dclk1がある細胞を排除する前(上)と、排除した後のマウスの腸の顕微鏡写真。がん(矢印)が消失している=京都大大学院医学研究科消化器内科提供(共同)

 がんを生み出す「がん幹細胞」特定の目印となるたんぱく質を見つけたと、京都大の千葉勉教授(消化器内科)のチームが2日付の米科学誌ネイチャージェネティクス電子版に発表した。

 治療をしても体内にがん幹細胞が残ると再発や転移が起きるため、がんを根絶やしにするにはこの幹細胞を見つけ、排除する必要がある。

 チームは、がん幹細胞を見分ける目印の発見は初めてとしており、目印を標的にがん幹細胞だけを攻撃することで、副作用のない抗がん剤の開発が期待できるという。(共同)

京都大学 ホームページ

日経プレスリリース

京大、癌幹細胞を特定するマーカーとして「Dclk1」を同定

癌幹細胞を特定するマーカー同定に成功 〜新世代の癌治療法開発に期待〜

 千葉勉 医学研究科教授(消化器内科学)、妹尾浩 同講師、中西祐貴 同大学院生らの研究グループは、癌幹細胞を特定するマーカーとして「Dclk1」を同定しました。本研究グループは、遺伝子改変マウスを用いた実験でDclk1発現細胞を障害することにより、正常組織への副作用がなく、癌のみを縮小させる理想的な癌幹細胞治療の可能性を示しました。

 本研究成果は、癌幹細胞を標的とした治療法開発の障害となっていた諸問題を解決するもので、新世代の癌治療法開発へ向けた大きな進展が期待されます。なお、この研究成果は英国科学専門誌「Nature Genetics」オンライン版に2012年12月3日(日本時間)に掲載されました。

<背景>
 癌幹細胞は、癌組織をつくる「親」になる細胞であり、癌の再発、転移などの原因になると考えられています。癌を根絶するためには癌幹細胞の排除が必須であるとの考えに基づいて、癌幹細胞のマーカー(目印)を見いだす努力が精力的に行われ、色々な因子がマーカー候補として挙げられてきました。しかし、そのほとんどは癌幹細胞だけでなく、正常組織の幹細胞にも発現していることが問題でした。つまり、それら既知のマーカーを発現する癌幹細胞を排除して癌を治療しようとしても、正常組織の幹細胞も排除されるために、正常組織にも重大な副作用が生じます(図上)。そのような副作用をなくすためには、癌幹細胞のみに発現して、正常組織の幹細胞には発現していないマーカーを見いだして、治療の標的とすることが必要です。しかしこれまで、大腸癌などの固形癌では、そのような癌幹細胞特異的なマーカーは同定されていませんでした。

<研究手法・成果>
 千葉教授・妹尾講師らは、消化管幹細胞マーカーの候補遺伝子であるDclk1に着目し、Dclk1−creERT2ノックインマウスを作成しました。同マウスを用いたリニエージ解析によって、正常腸組織ではDclk1は分化したごく少数の細胞に発現しているだけなのに対して、腸に出来た腫瘍ではDclk1が発現している細胞から腫瘍細胞が長期間にわたって供給されることが判りました。重要なことに、遺伝子操作によってDclk1発現細胞のみを選択的に排除すると、正常組織では副作用は見られませんでしたが、腸腫瘍組織を劇的に縮小させることに成功しました(図下)。この研究は、Dclk1が発現する癌幹細胞を標的とすることによって、正常組織への副作用なしに癌のみを治療できる、理想的な癌治療法の可能性を示したものです。
 〔図:従来の癌幹細胞マーカーと新しい癌幹細胞マーカーDclk1〕
  ※添付の関連資料「添付資料:図」を参照 

添付資料:図

添付資料:図

<波及効果>
 本研究の成果は、癌幹細胞を標的とした治療法を開発する上で、これまで大きな障害になってきた問題を一挙に解決する可能性があります。Dclk1は人の大腸癌でもマウスとよく似た発現パターンを呈していたため、Dclk1発現癌細胞を標的とした人の大腸癌治療の可能性も示唆されました。したがって本研究をさらに発展させることによって、副作用の少ない、新たな癌治療法開発へ向けた大きな進展が期待できます。

<今後の予定>
 人の大腸癌を対象にした臨床応用を目指して、Dclk1発現細胞を効果的に障害する医薬品開発を検討しています。また、大腸癌に限らず、その他の多くの臓器の癌でも、同様にDclk1発現細胞を標的とした治療法が可能かどうか、検討を進めています。

<用語解説>
 ・ノックインマウス
  ある目的遺伝子を、特定の内臓や細胞で発現するように遺伝子操作したマウス。

 ・リニエージ解析
  ある特定の細胞に遺伝子操作を行って、その細胞から生じた子孫細胞を標識し、細胞の親子関係を追跡する方法。


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