Quantcast
Channel: 鶴は千年、亀は萬年。
Viewing all articles
Browse latest Browse all 1727

必見!智慧得(843)「茎や葉からバイオ燃料ガソリン並み価格へ/RITE・本田技研・米エネ省」

$
0
0

 下記掲載の通り2006年9月発表の技術ですが、実用化の研究に6年掛かったということですね。石油の高騰も、実現価格が石油同レベルのコストとなった根拠でもあるのでしょう。しかしバイオ燃料で石油並は初めてではないかと思います。しかも、食品以外の部分でつくれるということは、農業が食品とともにエネルギー資源を生産出来ることになり、農業に取っては大福音です。…数年後には、「日本の休耕地でがんがんと成長の早い植物を栽培してエネルギー原料を作る様になるのかもしれませんね!

【とんでもない開発となるのでしょう!】…植物以外の葉や茎、そして都市の植木のゴミ、森林の伐採材、等々、向き不向きもありますが非常に楽しみな夢となります。

地球環境機構など、茎や葉からバイオ燃料 ガソリン並み価格  :日本経済新聞

 地球環境産業技術研究機構(RITE)やホンダ子会社の本田技術研究所、米エネルギー省などは、共同開発したバイオエタノールの実証実験を2013年に始める。順調にいけば14年にも米国で量産試験に乗り出す。茎や葉など食料にならない植物からガソリンと同等の価格でエタノールを作製できるという。

 バイオエタノールは菌を利用して植物に含まれる糖を発酵させて作る。糖はトウモロコシの実などからは簡単に得られるが、植物の葉や茎から取り出すには手間とコストがかかる。

 新技術では米エネルギー省の糖を取り出す前処理技術と、RITEの湯川英明グループリーダーらが開発した遺伝子組み換え菌を組みあわせた。この菌は発酵阻害物質に耐性を持ち、低コストな前処理で得た糖も利用できる。

 さまざまな種類や量の発酵阻害物質が含まれる12通りの代表的な前処理方法で作られた糖を、どれもほぼ一定の高効率で発酵できた。

 バイオエタノール1ガロン(約3.8リットル)の価格を2.5ドル程度にできるとみている。従来の約半分で燃費を考えるとガソリンとほぼ同レベルになる。

 13年に千葉県の試験設備で要素技術の実証実験を始める。14年に米国で1日当たり1トンの試験生産に移り、その後、米企業と量産試験に入る計画だ。

 バイオエタノールは植物原料のため燃やしても空気中の二酸化炭素を増やさないと換算され、温暖化対策になる。11年の生産量は世界全体で約223億ガロン。ただ、ほとんどがサトウキビやトウモロコシの実など食料と競合する原料由来で、食料価格の高騰の一因になるとの批判もある。

Honda - The Power of Dreams2006年9月14日

RITEとHonda、セルロース系バイオマスからのエタノール製造新技術を共同開発

財団法人 地球環境産業技術研究機構(RITE)とHondaの研究開発子会社である株式会社 本田技術研究所(以下Honda)は、植物由来の再生可能資源であるソフトバイオマス※1からエタノールを製造する技術に関する共同研究の成果を発表した。

バイオエタノールは燃焼時に放出されるCO2が、もともと植物が光合成により取り込んだもので、大気中のCO2総量に影響を与えない為、カーボンニュートラルな燃料として、地球温暖化対策に有効なエネルギー源として注目されている。

しかし、現在のバイオエタノール製造は、サトウキビやとうもろこしの糖質や澱粉質など食用と同じ部分を原料としているため、供給可能量に限りがある。
今回の共同研究では、これまで困難とされてきた、稲藁など、食用に供さない植物の茎や葉といった、ソフトバイオマスに含まれるセルロース類※2からアルコール燃料を製造する技術の基盤を確立し、実用化へ大きなステップを踏み出した。

RITEの極めて高度なバイオ技術とHondaのエンジニアリング技術の融合により新たに開発されたRITE-Hondaプロセスは、セルロース類からのバイオエタノール製造に道を開き、大幅な増産を可能とするものである。

そのプロセスは、以下の各工程から成り立っている。

  1)ソフトバイオマスからセルロース類を分離する前処理工程 2)セルロース類の糖化工程 3)微生物による糖からアルコールへの変換工程 4)アルコールを精製する後処理工程

既存の技術では、主にソフトバイオマスからセルロース類を分離する工程で副次的に生成される醗酵阻害物質が、糖をアルコールに変換する微生物の働きを妨げ、エタノールの収率が極めて低くなる。これが、ソフトバイオマスからのアルコール製造の大きな障害になっており、解決する策は今まで見出されていなかった。
微生物によって化学物質を製造するバイオプロセスの開発で世界的に著名なRITEは、従来技術に対し飛躍的に生産効率の高いRITEプロセスを確立、これまでもバイオエタノール製造関連を含む、多くの成果を発表してきた。

今回、RITEの開発した糖をアルコールに変換する微生物であるRITE菌を使い、Hondaのエンジニアリング技術を活用し、醗酵阻害物質による悪影響を大幅に減少させるRITE-Hondaプロセスの開発に成功、従来のセルロース系バイオエタノール製造プロセスと比較してアルコール変換の効率を飛躍的に向上させることが可能となった。

このRITE-Hondaプロセスは、バイオエタノールの大幅な増産と利用の拡大を可能とし、持続可能なエネルギー社会の実現に向けた大きな前進となる可能性を秘めている。

今回の成果により、ソストバイオマスからのエタノール製造に関して、基礎的な課題がすべて解決したこととなり、今後は、工業化に向けて研究を進め、現在は別々の処理で行っている4つの行程をひとつのプラント内で連携させるシステムの開発に取り組み、この連携システム内でのエネルギーリサイクル※3による省エネルギー化と低コスト化を図る。

また、新しいバイオアルコール製造システムの社会適合性や経済性を検証するために、パイロット・プラントによる実証実験を計画している。

RITEとHondaは、これらの共同研究の成果を基盤として、将来はエタノールだけにとどまらず、バイオマスから自動車用材料を含むさまざまな産業用物質を生みだすバイオリファイナリー※4への進化を目指し、持続可能な社会の実現に向けて、更なるCO2低減による地球温暖化防止に貢献していきたいと考えている。

プロセスイメージ図

プロセスイメージ図

 

財団法人   地球環境産業技術研究機構
(Research Institute of Innovative Technology for the Earth、通称RITE) 概要 地球環境、特に気候変動問題に対する対策技術の基礎的研究を行う研究機関として、日本政府と民間企業の共同出資によって1990年に設立。CO2の貯留技術や代替エネルギー研究などによる気候変動安定化に取り組んでいる。 所在地 京都府相楽郡木津町木津川台 理事長 秋山 喜久


株式会社 本田技術研究所 基礎技術研究センター 概要 Hondaの開発子会社である本田技術研究所で、基礎技術分野の研究開発を担当する機関。1986年4月設立。二足歩行ロボットのASIMOや、HondaJetの開発に加え、バイオ分野やエネルギー分野の基礎研究も手がけている。 所在地 埼玉県和光市 責任者 川鍋智彦 (本田技術研究所 専務取締役)


※1 ソフトバイオマス 生物由来の再生可能な有機物資源で化石資源を除いたものをバイオマスと言う。狭義には家畜糞尿や廃木材や、食用部分を取り除いた後の植物の残渣などを指すこともある。もともと生物が光合成により大気中のCO2と水から生成した有機物であり、これを燃やしても大気中のCO2は増加しない。


※2 セルロース類 植物の繊維質の主成分。天然の植物質の2/3を占めると言われるが、これまでの技術ではアルコール製造の原料とすることが難しかった。


※3 連携システム内でのエネルギーリサイクル 四つの処理工程のうち、ある工程で発生した熱を他の行程の反応促進に使うなど、熱やエネルギーを効率よくシステム内で使いまわしをすることで低コスト化の鍵となる。


※4 バイオリファイナリー

 

オイルリファイナリーに対する概念で、バイオマスを原料にバイオ燃料や樹脂などを製造するプラントや技術。

 


Viewing all articles
Browse latest Browse all 1727

Trending Articles