高級時計…このクラスになってくると、骨董的価値の世界、芸術的/パトロン的価値の製品ですね…一応、もはや歴史的価値でしょう。朝日新聞シリーズの抜き書きコピペです。(本日は春節、朝日新聞のWeb版の名称変更日でもあり、記念のつもりでの掲載です!)
asahi.com(朝日新聞社):【時計の祭典ジュネーブサロン】(1)個性派エレガンス - 話題 - ファッション&スタイル
高級腕時計の新作が華やかに勢ぞろいする毎年恒例のジュネーブサロン(SIHH2012)が1月16日から開幕した(20日まで)。正式名称のSIHHは「国際高級時計サロン」を意味するフランス語の頭文字。スイス・ジュネーブで開催されることから、ジュネーブサロンとも称される。例年3月に開催される世界最大規模の国際時計宝飾見本市「バーゼルワールド」からスピンアウトした形で1991年から実施しており、今年は第22回を数える。
ジュネーブサロンは基本的に新作の受・発注を行うトレードショーであり、バイヤーなどとの商談がメーンとなるため、招待客だけが入場可能。このことから、会場全体が上品で格調高い雰囲気に統一されていることも際立った特徴だ。主催者のインターネット・サイトによれば、招待客数はメディア関係者なども含めて約1万2500人としている。
ピアジェ「グベナー」。自動巻き、ピンクゴールド、ケース径43ミリ。6月発売予定。273万円(税込み予価)(写真1)
◆ピアジェ メンズの新コレクションを追加
宝飾時計で有名だが、機械式ムーブメントを自社開発するマニュファクチュールであり、超薄型ムーブメントでも高い実績を誇る。中でもケース厚5.25ミリの「アルティプラノ」は現行品の自動巻きモデルでは世界最薄という。
加えて、今年はまったく新たなコレクション「グベナー」が登場した(写真1)。ケース自体はラウンドタイプ(丸型)だが、ダイヤルフェースは天地に長いオーバル(楕円)になっており、実に個性的なスタイル。左右のベゼルを厚くしているからだが、それによって静的ではなく、動的なイメージのエレガンスを表現しているといえよう。センター3針、第二時間帯表示付きのクロノグラフ、そして手巻きのトゥールビヨンなど3種類6タイプをラインナップしている。ちなみにクロノグラフのプッシュピースもオーバル型。
(写真2)ロジェ・デュブイ「エクスカリバー・オートマテイック ステンレススチール」。自動巻き、ステンレススチール、ケース径42ミリ。今秋発売予定。130万2000円(税込み予価)◆ロジェ・デュブイ 新型ムーブメントを搭載した「エクスカリバー」
1995年の創設以来、独特のデザインと高品質な自社開発ムーブメントで多彩なモデルを発表してきたブランドだが、近年は四つの世界観をベースにしたコレクション展開を行っているという。
今年の新作「エクスカリバー」(写真2)では、「ウォリアー」(戦士)の力強さとひらめき、厳格さをイメージとしており、大胆な放射状のローマ数字インデックスがまさにダイナミックでアクティブな印象を与える。やや大きめのスモールセコンドが力強さの象徴といえるだろう。ケース厚が約10ミリの薄型ドレスウオッチだが、新開発のムーブメントを搭載しており、マイクロローターの巻き上げ効率を向上させたほか、パワーリザーブも52時間に延長している。
会場風景
asahi.com(朝日新聞社):【時計の祭典ジュネーブサロン】(2)ラグジュアリー・スポーツ - 話題 - ファッション&スタイル
高級腕時計を大きく分類すれば、高度な複雑機構や宝飾系は別として、2針または3針のベーシックなドレスウオッチ、GMT(第二時間帯表示)など付加機能を備えたプチ・コンプリケーション、そしてスポーツウオッチの3種類にまとめられるだろう。
このうちスポーツウオッチはストップウオッチ機能を持つクロノグラフが代表的だが、パイロットウオッチや、防水性能の高いダイバーズウオッチなど様々なタイプがある。性能・品質、そしてハードな使用にも耐える堅牢性はもちろんだが、デザイン的にも洗練されていることが高級腕時計ならではの特徴といっていい。スーツ姿にもフィットする、エレガントなクロノグラフやダイバーズモデルも珍しくないのである。
そんな魅力を持つ優れたスポーツウオッチを、ジュネーブサロン2012の会場からピックアップしてみた。
オーデマ ピゲ「ロイヤル オーク復刻モデル」。自動巻き、ステンレススチール、ケース径39ミリ。6月発売予定。183万7500円(税込み予価) ◆オーデマ ピゲ 「ロイヤル オーク」誕生40周年 これを機として、自動巻きムーブメント「3120」搭載モデルのケース径を39ミリから41ミリにサイズアップするなどラインナップの見直しが行われた。パワーリザーブ表示を備えた薄型トゥールビヨンなども発表されたが、初期の復刻モデルに注目したい(写真1)。「AP」のロゴマークを6時位置にするなど、発表当時のデザインを忠実に再現している。シースルーのケースバックから見える、ロゴと社名とグランドタペストリーをアレンジした自動巻きのローターが40周年記念復刻モデルのサイン。ケースも薄くなっており、鮮やかなブルーのダイヤルが印象的。1875年に創業。ミニッツリピーターなどの複雑時計で高い技術力を誇る老舗ブランドだが、1972年に八角形のベゼルを備えた「ロイヤル オーク」を発表。このモデルがラグジュアリー・スポーツウオッチの先駆けになったといわれる。以来、ロングセラーとして多種多様なモデルが発表されてきたが、2012年は誕生40周年となる。
asahi.com(朝日新聞社):【時計の祭典ジュネーブサロン】(3)新進ブランドの饗宴 - 話題 - ファッション&スタイル
スイスでは100年以上に渡る歴史を持つ時計ブランドが少なくない。数多くのブランドが勃興したのは19世紀だが、18世紀にまでさかのぼるブランドもいくつかある。20世紀になると懐中時計にかわって腕時計が急速に普及。新しいブランドも増加したが、1970年〜80年代にはクオーツの隆盛でスイスの時計産業は一気に衰退。ところが80年代後半から再び機械式時計の人気が高まり、これを追い風として休業や廃業に至った老舗ブランドが復活すると同時に、新しいブランドも次々に誕生するようになった。
こうした新進ブランドは歴史こそ浅いが高い技術力を備えており、モンブランが時計に進出したのは1997年だが、今では毎年トゥールビヨンなどハイエンドなコンプリケーション(複雑時計)を発表している。2001年に設立されたリシャール・ミルも現代のハイテクノロジーを機械式時計に導入。ラルフローレンは2009年のジュネーブサロンでデビューしたが、タイムレスでオーセンティックなデザインをコンセプトとしている。
モンブラン「タイムウォーカー ツィンフライ クロノグラフ グレーテック」。自動巻き、チタン、ケース径43ミリ。世界限定888本。10月発売予定。137万7600円(税込み予価)◆モンブラン マットグレーのダブル・フライバック
時計では1997年のデビューながら、急速に超高度なコンプリケーションを充実させてきた。今年も1000分の1秒を計測できる仰天の機械式クロノグラフ「タイムライターII クロノグラフ バイ−フリークエンス1,000」と、マリン・クロノメーターのテイストを導入したクロノグラフ「グランドレギュレーター ノーティック」を発表。どちらもスーパーハイエンドな機構が新たに開発されており、「タイムライターII……」は2887万5000円、「グランドレギュレーター……」では3633万円(いずれも税込み予価)と超高価な限定モデルだ。
一般的な新作としては、「タイムウォーカー ツィンフライ クロノグラフ グレーテック」(写真1)に注目したい。通常のクロノグラフではサブダイヤルとなる60分積算計を、時・分と同軸のセンターに配置したフライバック・クロノグラフ。この分積算の針とクロノ秒針が一緒にフライバックするため「ツィンフライ」と呼ぶ。チタンをサテンとブラステッド仕上げしたグレーのカラーリングでスタイリッシュに仕上がっている。
また、ベーシックな「スター クラシック」シリーズがシンプル&エレガントにリニューアルされた(写真2)。ケースは薄型で、ダイヤルには四つのアラビア数字とバーインデックス。スモールセコンドにアレンジされたホワイトスターがアクセントになっており、同ブランドの筆記具などに良く似合うデザイン。価格も30万円以下とリーズナブルだ。
リシャール・ミル「RM057 ドラゴン ジャッキー・チェン」。手巻き、レッドゴールド、ケース径50.0×42.7ミリ。世界36本限定。5月発売予定。5071万5000円(税込み予価)
◆リシャール・ミル 時計の中に超立体的なドラゴン
リシャール・ミルは最先端の新素材や新技術を導入して「時計界のF1」を目指してきたブランドだが、今年は超高額な限定モデルが6タイプ発表された。中でも「RM056」はサファイアクリスタルのブロックから切り出したケースを採用。この透明なケースにトゥールビヨンと特許を取得した新開発のスプリットセコンド・クロノグラフなど複雑機構を搭載しており、価格は1億4700万円(税込み予価)。
さらに「RM057」では今年の干支である「龍」をアレンジ(写真3)。時計の中に棲んでいるかのように錯覚するほど超立体的なドラゴンが彫刻されている。「RM052」ではスカル(ドクロ)をアレンジしており、こうしたモチーフによるモデルは初という。
非限定の新作は「RM037」のみだが、こちらも同ブランドでは初の完全自社開発ムーブメントを搭載(写真4)。ムーブメントに直結していない新機構のリューズ(特許取得)や新型の可変慣性モーメント・ローターなどハイレベルな技術が導入されている。
(ライター 笠木恵司)