現代詩人賞に最高齢97歳の「希望」 : ニュース : 本よみうり堂 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
新人の優れた詩集を顕彰する第62回H氏賞(日本現代詩人会主催)は3日、廿楽(つづら)順治さん(51)の「化車(かしゃ)」(思潮社)に決まった。
また、中堅以上の詩人を対象とする第30回現代詩人賞は杉山平一さん(97)の「希望」(編集工房ノア)に決まった。杉山さんは、過去最高齢の受賞者。賞金各50万円。授賞式は6月2日、東京・飯田橋のホテルメトロポリタンエドモントで。
(2012年3月5日 読売新聞) 杉山平一 - Wikipedia杉山 平一(すぎやま へいいち、1914年11月2日 - )は、日本の詩人、映画評論家、帝塚山学院大学名誉教授。
福島県生まれ。北野中学、松江高校を経て東京帝国大学美学美術史学科卒業。在学中三好達治に認められ『四季』に参加、同人となる。卒業後織田作之助らと『大阪文学』を創刊。1941年第2回中原中也賞(現在の同名の賞とは異なる)、1943年『夜学生』で文芸汎論詩集賞受賞。2003年『戦後関西詩壇回想』で小野十三郎賞特別賞受賞。2012年、詩集『希望』で第30回現代詩人賞受賞。その他大阪府知事賞、大阪芸術賞、兵庫県文化賞など。
戦後は映画評論で活躍、『映画芸術』『映画評論』に多く寄稿。1966年帝塚山学院短期大学教授。1985年定年、名誉教授。四季派学会会長、現代詩人会会長。
「希望」
夕ぐれはしずかに
おそってくるのに
不安や悲しみの
事件は
列車や電車の
トンネルのように
とつぜん不意に
自分たちを
闇のなかに放り込んでしまうが
我慢していればよいのだ
一点
小さな銀貨のような光が
みるみるぐんぐん
拡がって迎えにくる筈だ
負けるな
杉山は1914年会津若松市生まれ、神戸・大阪育ち。旧制松江高校で花森安治、田所太郎に出会い、文芸に親しむ。東大卒業後、映画評論の他、同人誌「貨物列車」(田所ら)、「海風」「大阪文學」(織田作之助ら)に参加。中原中也賞、小野十三郎賞など受賞多数。帝塚山学院大学名誉教授。
……そもそも、私は会津生まれでありながら、東北地方について無知であった。しかし私は、太陽の光に眩しく輝く南の海より、青インキのような北の海、高村光太郎が「キメが細かい」と言ったような北の青空が、好きである。
うなじや太鼓帯の美しさが背中に隠れているように、東北地方の人たちは後ろ側にその美しさを秘めている。表からは見えないその奥ゆかしさや謙虚さを打ちのめすように、大震災が東北の街をハチャメチャにしていったのだ。今こそ、隠れていた背中の印半纏を表に出し、悲境を越えて立ち上がって下さるのを祈るばかりである。奥ゆかしさを蹴破って、激烈なバックストローク、鵯越の逆落としさながら、大漁旗を翻して新しい日本を築いてくださるように。
書名、本書が復興への気持ちを支える力となるよう、願いを込めて。
喫茶・輪: 杉山平一詩集「希望」映像クリックで拡大できます! その巻頭詩。涙を催します。 映像クリックで拡大できます!
あとの詩も、いいのばかり。もうたまりません。
↓これは帯文。「あとがき」からです。 …このあとがきは是非読んでみて下さい。落涙です! (内容は上記線囲いの中にあります)
映像クリックで拡大できます! 杉山先生、97歳。「もうおそい ということは 人生にはないのだ 終わりはいつも はじまりである」