何も判らぬ素人目にも、身近に役立ちそうな開発と感じます!具体的なものになって現れることを楽しみにしています。先般の断熱塗料の如く、1mm塗って断熱するだけでなく、そこから発電も出来れば最高ですね!
NECと東北大、身近な熱源から発電できる新原理の素子を開発(2012年6月18日): プレスリリース | NEC
NECと東北大、身近な熱源から発電できる新原理の素子を開発〜 電子機器や自動車などへの適用に向けて 〜熱電変換素子をコーティングしたガラス板
NECと東北大学は、身の回りにある熱から発電する熱電変換素子(注1)において、新原理「スピンゼーベック効果」(注2)を用いて、発熱部分にコーティングすることで利用できる新しい素子を開発しました。
本素子は、家庭や工場、電子機器や自動車などの様々な発熱部分に形成できます。これにより、社会に広く存在する大量の廃熱を電気として有効利用できるようになるとともに、廃熱からの発電を身近に利用できるようになります。
社会の中では、様々な場所で熱が大量に発生していますが、その多くは利用されずに捨てられています。従来から、廃熱から発電できる熱電変換素子の利用が進められてきましたが、素子の構造が複雑、大面積化が困難などの課題があり、利用シーンが限られていました。
このたび開発した熱電変換素子は、温度差から磁性体のスピン流が発生する「スピンゼーベック効果」を利用しています。これにより、シンプルな素子構造を実現するとともに、簡易な塗布プロセスを利用できるため、従来の素子に比べて製造工程が簡易になります。
本素子を利用することで、塗布を用いて広い面積の熱源から大きな発電量を得たり、様々な形状の熱源上に素子を形成することが可能になります。また、スピンゼーベック効果により、高効率な熱電変換が期待できます。これらにより、これまで実現が困難だった利用シーンに熱電変換素子を適用し、廃熱を電気として無駄無く利用できるようになります。
このたび開発した熱電変換素子の特長は、以下のとおりです。
磁性体と金属電極を基板上に積層するシンプルな二層構造を採用。一層目には、温度差によりスピン流が発生するスピンゼーベック効果を利用する磁性体を使用。また二層目には、一層目で発生したスピン流を電流に変換する作用をもつ金属電極を使用。これらにより従来の、多数の熱電対(注3)を繋ぎ合わせる構造の素子と比較して、製造プロセスを簡易化。
塗布プロセスを利用することで、様々な形状の熱源上に素子形成が可能
磁性体の形成に塗布プロセスを利用。これにより、複雑な構造をもつ従来の素子では困難だった大面積化や、曲面・凹凸面など様々な形状や材料の熱源上へのコーティングによる素子形成が可能となるため、熱電変換素子の利用シーンが拡大。
NECと東北大学は今後も、本熱電変換素子の実用化に向けて研究開発を進めてまいります。
本研究成果の一部は、JST(独立行政法人 科学技術振興機構)の戦略的創造研究推進事業 チーム型研究(CREST)の「プロセスインテグレーションによる機能発現ナノシステムの創製」研究領域(研究総括:曽根純一 物質・材料研究機構 理事)の研究課題「スピン流による熱・電気・動力ナノインテグレーションの創出」(研究代表者:齊藤英治)によって得られました。
なお本研究成果は、英国の科学雑誌「Nature Materials」に掲載されるに先立ち、オンライン版(英国時間:6月17日付け、日本時間:6月18日付け)に掲載されました。
以上
(注1)熱電変換素子:熱エネルギーを電力に変換する素子。
(注2)スピンゼーベック効果:温度差をつけた磁性体において、温度勾配と並行に電子の磁気的性質であるスピンの流れ(スピン流)が生じる現象。本研究開発を進める東北大学(当時は慶應大学)の齊藤英治教授らにより2008年に発見された。2010年には絶縁性の磁性体でもスピンゼーベック効果が生じることも同教授らにより発見されている。
(注3)熱電対:異なる二種類の金属や半導体を接合したもの。両端に温度差をつけると温度差に応じた電圧が発生する。
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東北大学原子分子材料科学高等研究機構(AIMR)/金属材料研究所 教授
齊藤 英治 (サイトウ エイジ)
東北大学金属材料研究所 助教
内田 健一 (ウチダ ケンイチ)