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メモ「2012を見通そう!」

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(1)開かれる知 つながる力 動き出す「チーム・グローバル」 社会の課題、次々挑戦 :日本経済新聞 2012.1.1 1面トップ記事のコピペです!

 20年後。幼い子どもは社会人となり、20代の若者は社会のけん引役になっている。次の世代が描く未来図はどんな形だろう。日本と世界は大きく変わっているはずだ。ヒントを探しに出かけてみた――。

 

 米国西海岸のシリコンバレー。床も柱も天井も白。滑るように動く赤いカートが組み立て途中の車を運ぶ。油のにおいも騒音もない。電気自動車テスラ・モーターズの工場で、今年半ばからの量産へ準備が始まった。

 創業者はインターネット決済やロケット開発でも知られる起業家、イーロン・マスク。いま40歳。なぜ純白の工場か。

 「僕たちは急激な変化の中にいる。この産業はもっと革新的な文化を受け入れなくちゃ。現状を疑い、新しいことに挑む場所がここなんだ」

 パソコン用に似た電池を積み、車体はアルミ。次代の車には塗装や組み立てにも新しい知恵と工夫がいる。100年前、フォード・モーター創業者のヘンリー・フォードは溶鉱炉や発電所を抱えた重装備工場を力の源にした。マスクはソフト力や頭脳が要とみる。

「重厚」から「軽やかさ」へ

 自動車産業の新たな担い手がアップルやグーグルと同じハイテクの地に誕生したのは偶然でない。フランス、ドイツ、ブラジル、カナダ、日本……。年産2万台の工場に集まるのはエコカーで環境を守ろうという世界の550人。「重厚」から「軽やか」へ。新しい軸が生まれつつある。

 英知が大事な時代。閉じた組織で思考の袋小路に入らずに、広い世界に問うこともできる。

 〈電気のないアフリカの村に安全で便利な暮らしを届けたい。太陽電池で動くランプ兼懐中電灯をつくれないか〉――。米テキサス州の日用品会社の問いに具体的な設計を示したのはニュージーランドの電気技師ラッセル・マクマホン。報奨2万ドルだったそうだ。

 ボストン郊外にあるイノセンティブは企業や政府が解けない課題をネットで公開し、世界から「解」を募る。登録された研究者・技術者は世界各地の25万人。これまで1300超の課題の半分に答えを出した。挑戦心が旺盛なのは1975年以降に生まれた世代。社長のドゥエイン・スプラドリン(45)が言う。

 「彼らはひとつの会社に忠誠を誓う就労観が薄い。新しい課題で能力を発揮したがる。必ずしも報奨狙いじゃない」。地球に散らばる難問を軟らか頭が解きほぐす。

 中南米ハイチ。リュック・エマニュエルはパソコンを通じたデータ管理の仕事をしている。ケニアの首都ナイロビのバネッサ・カンイは同僚だ。仕事の発注元は先進国のネット企業。仲介組織によるとアフリカなどの6カ国で1500人が働き、大半が30歳以下だ。

強まる共時性 進む感覚共有

 しゃれたオフィスで働くネット企業社員と彼らの境遇には差がある。だがともにグローバル経済の原動力だ。20年前、ウィンドウズは一部の人のツールでグーグルは形もなかった。いま20億人がネットを使いポケットにはスマホがある。自動翻訳の普及など次の20年で地平は広がり、地球はもっと小さくなる。

 ノーベル賞経済学者のマイケル・スペンスは「世界人口の15%が享受する豊かな生活が今世紀半ばには75%にいきわたる」とみる。世界はシンクロニシティー(共時性)を強め、共有するものや感覚が一段と増える。

 中東ではネットでつながった若者が民主化活動を主導した。欧米でもネット世代が持つ熱量は高い。熱の一部は「次の産業革命」に注がれる。

 「撮りたい映画がある」「こんなデジタル機器をつくれたら」……。個人の夢をかなえる会社がニューヨークにある。事業計画をネットに掲げ、賛同者から資金を集める。仕組みを運営するキックスターターの創業者、ヤンシー・ストリックラーは33歳。

 ――なぜこの事業を。

 「量販店でみなと同じ品物を買って心から満足できる? 自分が実現にかかわった商品には語れる物語がある。人を金持ちにするような話だけが大事なわけじゃない。30代以下はクリエーティブなことが大好きだ」

 2009年に創業し、集めた資金は1億2千万ドル。1万5千件の夢をかなえた。資金の出し手に金銭の見返りはない。共鳴した夢に相乗りする連帯感で歯車を動かす。

 20世紀。人類は大量生産型の規格社会を築き、効率的な快適さを手にした。気がつくと個性が消え、息苦しい。そんな時代にさよならを言う世代が台頭する。社会性や社交性といった「ソーシャル」への親近感が震災後の日本にも染み渡る。

 「仮設住宅にふれあいの場がほしい」。宮城の南三陸町では住民の声に応えて米ハーバード大大学院や米マサチューセッツ工科大の学生らが集会所をつくりあげた。

 「建築家のアイデアが地域とのコミュニケーションを通じて形になった」。事業メンバーの宮城大教授、平岡善浩(45)は喜んだ。プロもアマも日本も外国もない。復興の最前線で「チーム・グローバル」が20年後の街の姿に目をこらす。

 共鳴する世界は国を超え若い世代を巻き込む。同じ価値観や使命感を抱く人々が自由につながる。押しつけでない分、秘めるパワーは大きい。新世代が次代のルールで動く。古い秩序って、窮屈じゃないですか……。

 コンピューター(Computer)を傍らに育ち、ネットで知人とつながり(Connected)、コミュニティー(Community)を重視する。変化(Change)をいとわず、自分流を編み出す(Create)。ジェネレーションC、未来へ駆ける。

アジア成長、日本も外へ  :日本経済新聞

 20年後の日本はどんな姿か。東大の伊藤元重教授は「アジアに日本を超えるか肩を並べる経済力を持つ国や地域が3つできる」と予測する。内閣府の長期予測によると、中国は2025年に国内総生産(GDP)で米国を上回り、世界最大に。インドも日本に迫る。インドネシアやマレーシアなどの東南アジア諸国連合(ASEAN)も、束になれば日本に近づく。

 アジアの成長は複数のエンジンを持つ巨大な共通市場を生み出し、日本再浮揚の好機になる。同時に、多くの国や人が同じ条件のもとで競い合う時代になることも意味する。

 日本では海外の大学で学ぶ留学生が減り、「内向き」志向も指摘される。だが若年層の人口が減るなかでも、1990年代を上回る。日本で学ぶ海外の留学生は増え、交流する機会も豊富だ。決して閉じているわけではない。アジアとの共生と競争。若い世代への期待は大きい。

 


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