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必見!智慧得(686)「環境に優しい透湿性・防水性の微多孔ポリ乳酸フィルム開発/東レ」

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 今までは撥水加工の生地を上手く使うことで、通気性もあり水も漏れない特徴ある製品が作られて来ている…ベビー用品のオムツカバーや防水シーツ、極薄では羽毛布団生地、高級スポーツ用途のジャケット等…このような機能が、シート状で出来れば、安く出便利なものの裾野が随分広がるはずです…レインコートもナイロン製の代替品レベルも可能かもしれません。布オムツカバーも市場が紙オムツに変わってしまい出る膜が無いのだが、更に安さ競争の中で高級カバーが埋没してしまうのを防げるかもしれない。尤も、紙オムツ業界が活用すると思われるので、更に機能性に富んだものが開発されることでしょう。日本の衣料業界にとっては有難い素材となることでしょう。

EICネット[国内環境ニュース - 東レ、透湿性・防水性を両立する植物由来の生分解性微多孔ポリ乳酸フィルムを開発]

 東レは、透湿性と防水性を両立させた植物由来の生分解性の新素材、微多孔ポリ乳酸フィルムを開発した。農作物の保温や雑草抑制などに効果がある農業用のマルチフィルムや紙おむつ、生理用品などに利用できる。植物が原料のバイオマス(生物資源)のため、化石資源の使用量とCO2排出量を抑えられる。2014年までの早い時期の生産技術確立を目指す。

 ポリ乳酸は、トウモロコシなど植物のデンプンから合成される生分解性の化合物。生分解性は、微生物によって分解されて無機物になる性質を意味し、植物由来と両面で環境負荷を低減する。透湿性と防水性のあるフィルムには、主に微多孔ポリエチレンフィルムが使われるが、廃棄物処理の問題や環境配慮から生分解可能な化合物への置き換えが求められている。

 透湿性と防水性を両立するフィルムでは、空気を通して水を通さない微細な穴(孔)が必要になる。しかし、ポリ乳酸は孔を均一に配置させにくいことから、乾式法と呼ばれる生産性の高い方法で透湿性と防水性のあるフィルムを製造するのは困難とされてきた。東レは今回、独自の高分子技術などで、生分解性微多孔ポリ乳酸フィルムを乾式法で製造することに世界で初めて成功した。

 孔の大きさや密度も制御でき、ニーズに応じて透湿性と防水性を持たせることも可能になる。開発した生分解性微多孔ポリ乳酸フィルムは、構成する化合物の全てが生分解性を持つと同時に、バイオマスの度合いが高く、環境に配慮した循環型社会の実現に貢献できるという。東レは今後、生分解性微多孔ポリ乳酸フィルムの実用化に向け、量産技術の開発を進める。

 (2012年8月8日東レ ニュースリリース)

環境に優しい「生分解性微多孔フィルム」の開発−独自のナノ分散化ポリマーアロイ技術により微多孔ポリ乳酸フィルムを創出− | TORAY

  東レ株式会社(本社:東京都中央区、社長:日覺昭廣、以下「東レ」)はこの度、透湿性と防水性を併せ持ちながら、生分解性のある微多孔ポリ乳酸*1フィルムの開発に成功しました。農業用マルチフィルムや紙おむつ・生理用品などの生活資材向けに大きく拡大が期待できる新素材として、2014年までのなるべく早期に生産技術の確立を目指します。

 透湿・防水性のあるフィルムは、農作物の保温や雑草抑制などに効果のある農業用マルチフィルム、紙おむつ・生理用品などのヘルスケア用途、使い捨てカイロなどの包装用途をはじめ、日常のさまざまな場面で広く利用されています。従来は主に微多孔ポリエチレンフィルムが使用されていますが、廃棄物処理問題や環境負荷低減の観点から、生分解可能なポリマーへの置き換えが切望されていました。
 代表的な生分解ポリマーとしては、ポリ乳酸が挙げられます。透湿・防水性を有するフィルムを製造するには、空気を通し水は通さない微細な孔(「貫通孔」)を発現させる必要がありますが、ポリ乳酸を用いた透湿・防水フィルムは、高コストの溶媒を用いた湿式法での開発報告例があるのみで、生産性の高い乾式法での製造は、技術的に困難とされていました。

 今回東レは、長年培ってきたフィルム製造技術に、独自の高分子技術、粒子分散技術を融合させることにより、乾式法による「貫通孔」を有した生分解性微多孔ポリ乳酸フィルムの創出に世界で初めて成功しました。通常、乾式法で微多孔フィルムを製造するには、微細粒子を添加したフィルムを引き伸ばして粒子のまわりにすき間を作ります。一般的なポリエチレンフィルムは、微細粒子が均等に分散しやすいため、すき間がフィルムの表から裏まで効率的につながり、透湿・防水性をもたらす貫通孔が出来上がります。
 これに対して、ポリ乳酸中では、微細粒子の分散性が低いため、微細粒子をポリ乳酸中に高濃度に配合すると凝集が発生します。この結果、フィルム内部に孔が均一に配置されず、延伸を行っても粒子の周りにすき間ができるだけで、貫通孔を得るという目的を達成することは困難でした。

 透湿・防水性を有すポリ乳酸フィルムを得るには、微細粒子をポリマー中に高濃度・高分散した状態で適正な延伸を行い、一つ一つの孔をつなげて貫通孔を作ることがポイントです。東レは独自の高分子技術により、微細粒子と相互作用するユニットとポリ乳酸と相互作用するユニットからなる新規ポリマーを精密合成し、この新規ポリマーを微細粒子と共にポリ乳酸中へ混練することで、ポリ乳酸中に微細粒子を高濃度かつ、単分散させることを可能としました。
 こうして得られた微細粒子高濃度含有ポリ乳酸を、当社が長年培ってきたフィルム製造技術を用いて、単分散状態を維持したままフィルム成型することに成功し、微細孔同士を連結することで、世界で初めて乾式法での貫通孔形成を実現しました。この技術は、微細粒子、新規ポリマー、フィルム製造条件などを選ぶことで、目的とする貫通孔の孔径、密度を制御することができるため、お客様の要望に応じた透湿・防水性能を提供することが可能です。

 今回開発した微多孔ポリ乳酸フィルムは、構成する全てのポリマーが生分解性を有するとともに、バイオマス性が高いため、持続可能な循環型社会の発展に向けて大きく貢献するものと考えており、早期の実用化に向けた量産技術の開発を加速してまいります。

 東レは、2011年4月からスタートさせた新しい中期経営課題“プロジェクト AP-G 2013”で掲げる「グリーンイノベーション事業拡大(GR)プロジェクト」において、「全ての事業戦略の軸足を地球環境におき、持続可能な低炭素社会の実現に向けて貢献していく」という経営方針のもと、今後もバイオマス材料の事業拡大を推進していきます。また、コーポレートスローガンである“Innovation by Chemistry”のもと、持続可能な循環型社会の発展に向け、「ケミストリーの力」を駆使して新しい先端材料の研究・開発に注力してまいります。

*1 : ポリ乳酸は、トウモロコシなどの植物のでんぷんから合成されるバイオマスかつ生分解性のポリマーです。植物が原料であるため、化石資源の使用量の低減につながることや、二酸化炭素の排出抑制にも貢献できます。

以上


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