丸紅、米で新型油田権益 シェールオイル・ガスに1000億円 LNG日本輸出視野 :日本経済新聞
出資するシェールオイルの鉱区ではフル生産に向けた井戸の掘削工事が続く(米テキサス州)
丸紅は米石油会社から米南部の新型油ガス田「シェールオイル・ガス」の鉱区権益35%を取得する。今後の開発費も含めると投資額は約13億ドル(約1千億円)に達する見通し。原子力発電所の停止で火力発電の比率を高めている日本への液化天然ガス(LNG)輸出も検討する。伊藤忠商事など他の国内勢も新型油ガス田への投資を増やしており、日本の資源安定調達に寄与しそうだ。
丸紅が取得するのは米石油ガス開発大手のハント・オイル社(テキサス州)が権益を保有するテキサス州イーグルフォードの鉱区。鉱区面積は約210平方キロメートルで、すでに生産が始まっている。新型油田「シェールオイル」の生産量が全体の約85%を占める。
同鉱区は5年後をメドに数百本の産出用井戸を設置しフル生産体制に入る計画。フル生産時の産出量は日量1万数千バレルとなる見込み。丸紅は今後の開発費用を持ち分権益に応じて負担する。総投資額は約13億ドル(約1千億円)。当初は米国内向けのシェールオイル・ガスを生産するが、将来的にシェールガスをLNG化して日本に輸出することも視野に入れる。
シェールオイル・ガスの権益取得を巡っては、商社を中心に各社が一段と投資を増やしている。伊藤忠が米投資ファンドのコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)グループと米石油・ガス会社サムソン・インベストメント(オクラホマ州)を約70億ドル(約5400億円)で買収したほか、国際石油開発帝石と日揮がカナダ資源開発大手のネクセンから加西部の3鉱区の権益を40%取得。三井物産も米南部の鉱区の権益12.5%を取得している。
米では自由貿易協定(FTA)を締結していない国へのLNGや原油の輸出に関して、米エネルギー省の許可が必要。現時点で日本に対しては認められていない。一方日本政府は急増するLNG需要に応じ調達先の分散を狙って昨年から米政府に対し、日本向け輸出の許可を要請。米でも検討が開始され、15年にも輸出が始まるとの見方がある。
シェールガスの増産により米国内の天然ガス価格は今後100万BTU(英国熱量単位)あたり3ドル台後半とさらに下落する見通し。日本向けLNGのスポット価格に比べ4〜5分の1程度となる。米からLNG輸出が始まれば、増大する日本のエネルギーコスト押し下げにもつながりそうだ。